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Column:笑顔と躍動、はつかいちサンブレイズ 第20回クラブ選手権で最高成績の3位!

2025年8月19日

便利箱/小田

ZENKO BEAMSに阻まれ続けた悔しさを乗り越え、創設4年目に掴んだ栄光。走塁とチームワークが光った今大会を振り返る。

白球に込めた夢──はつかいちサンブレイズ、3位の栄光へ 今年(2025年)の夏も開催された、第20回全日本女子硬式クラブ野球選手権大会。千葉県成田・佐倉の三球場を舞台に、全国36チームが頂点を目指した。NPB球団運営チームがこぞって初戦で姿を消す中、地域クラブとして注目を集めたのが「はつかいちサンブレイズ」だ。


笑顔が溢れ、チームの雰囲気の良さが伝わるはつかいちサンブレイズの選手たち
笑顔が溢れ、チームの雰囲気の良さが伝わるはつかいちサンブレイズの選手たち

3年目の挑戦、積み重ね続けた軌跡 まず、“曾て戦った経験”という土台がある。

2022年第17回大会で初参加した彼女たちは、初戦でZENKO BEAMSに惜しくも敗退。それでも、大舞台に一歩を踏み出した意義は大きい。

翌2023年第18回大会では、NPB系強豪・埼玉西武ライオンズ・レディースと2回戦で対峙し、悔しい敗北を喫した。

2024年第19回大会では再びZENKO BEAMSとの再戦。初戦で涙を呑む結果ではあったが、連続出場によって積み重なった経験は間違いなく、彼女たちの中に“可能性”の種を育んでいた。


2024年末の改革、走塁の旋律を刻む

2024年12月、チームに新たな風が吹き込まれた。現役時代に日本ハムファイターズで活躍し、福岡ダイエーホークスや他球団でコーチとして実績を誇る島田誠氏が就任。彼によってチームには“走塁改革”が浸透し、俊敏でアグレッシブな攻めの意識が随所に芽生えた。

加えて7名の新入団選手が加入。早々にチームムードに溶け込み、“明るさ”と“躍動感”をもたらした。この中で、中軸として期待された堀みずほ選手が、ボールを運び、機を捉え、チームを鼓舞する存在として飛躍。彼女の活躍は今回の躍進の原動力の一つとなった。


元女子プロたちが魅せた誇り高きプレー

さらに、堀選手の奮闘に呼応したのが、元女子プロ野球選手たちの活躍だ。村松珠希選手戎嶋美有選手西山小春選手御山真悠選手──いずれもプロの頂に立った経験を持ち、攻守にわたって“プライドを感じさせる華麗なプレー”を繰り広げた。その動きの一つひとつに、“ただ観られるのではない、自ら魅せていく”という覚悟が感じられた。

加えて、2024年シーズンから加入した鶴見栞奈選手、中本姫菜選手の活躍も大きかった。新戦力ならではの鮮烈さで、チームに厚みを加えた。


投手のリードはもちろん、打撃も光った村松珠希選手
投手のリードはもちろん、打撃も光った村松珠希選手

投手陣の安定、受け手のリードが支えた強さ

投手陣では小原美南選手を中心に、安定した投球で相手打線を抑え込んだ。さらに、坂東瑞紀選手は大会を通して奮闘し、「敢闘賞」を受賞。まぎれもない功労者である。

この安定は、日本代表経験を持つ村松捕手のリードがあってこそだった。経験に裏打ちされた配球とゲームコントロールはもちろん、その強肩によって相手走者の二進を躊躇させる効果も大きかった。


安定した投球を魅せた、坂東瑞希選手
安定した投球を魅せた、坂東瑞希選手

創設4年目、クラブ選手権3年目にして到達した最高結果

はつかいちサンブレイズは今年、ついに大会史上初の3位という最高成績を手にした。創設からわずか4年、クラブ選手権参加は今回で3年目──選手の入れ替わりが激しい中で積み上げた成果は、まさに奇跡的な歩みだ。

その土台を支えたのが、今シーズンからキャプテンを務める國場紗智選手の存在である。攻守での安定感はもちろん、チーム全体を見渡し、若手とベテランをつなぐリーダーシップを発揮。明るい声かけや的確な判断は、笑顔に満ちたチーム文化を一層強固なものにした。國場選手の背中があったからこそ、仲間たちは伸び伸びと躍動し、最高の結果へと結びついたのだ。

これは、女子プロ野球唯一の“三冠王”として知られる岩谷美里監督の存在とあわせ、選手たちの心をひとつにする大きな原動力となった。常に寄り添い、ハードワークと遊び心のバランスを保つ指導と、キャプテンのリーダーシップが交わることで、チームは確かな成長を遂げている。


全試合を通して4番を担い、攻守でチームを引っ張った御山真悠選手
全試合を通して4番を担い、攻守でチームを引っ張った御山真悠選手

親会社の支柱とチームの融合が創る未来

さらに背景にあるのが、親会社・株式会社ダイサンの経営方針と、チーム運営のビジョンがしっかりと一致している点だ。経営陣と監督・コーチ陣、そして選手たち――その意識が高い次元で融合し、全員が“同じ方向”を見据えていることは、チームをさらなる高みに導く原動力となっている。


未来へ向けて――広島の星は、さらに輝きを増す

夏の熱戦を経て、はつかいちサンブレイズが示したのは“成長の跡”だけではない。“可能性の予感”と“確かな輝き”だった。新戦力の飛躍、走塁の進化、投手と捕手の連携、そして監督・指導陣と選手たちの信頼関係……それらが複雑に絡み合い、結果として新たな歴史を刻んだ。

3位という成績は、チームにとってひとつの区切りであり、また次の挑戦のスタートラインである。来る第21回大会、そしてその先の未来――今回芽生えた“存在感”と“躍動感”は、広島の地から全国へと広がっていくだろう。

はつかいちサンブレイズの白球が描く新たな夏。そこには、笑顔と汗、進化と期待が詰まっている。そして、それこそがこのチームの最も眩しい、未来への証しである。

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