
2025年5月12日
便利箱/小田
2024年10月27日に、アメリカで公開されたドキュメンタリー映画『See Her Be Her(シー・ハー・ビー・ハー)』が、Amazon Prime Videoで配信中!
女子野球にちょっとでも興味がある人はもちろん、「女性の生き方」や「夢を追う姿」にグッとくる人にとって、間違いなく心に残る一本です。
タイトルの意味は「彼女が、彼女でいるために」
タイトル『See Her Be Her』には、「彼女が、彼女でいられる姿を見よう」というメッセージが込められています。つまり、彼女たちが“なりたい自分”としてプレーしているその瞬間こそが、見る人にとっての希望であり、ロールモデルになり得るということ。そんな視点からも、この映画はただのスポーツドキュメンタリーではなく、「生き方そのもの」に光を当てた作品と言えます。
7カ国の女子野球プレイヤーが主役
物語の中心にいるのは、7カ国(アメリカ、カナダ、プエルトリコ、日本、韓国、キューバ、ウガンダ)の若き女子野球選手たち。それぞれの国で、環境も、文化も、野球を取り巻く状況も全然違う中でも、「野球を愛する気持ち」だけは共通していて、どの選手も自分の夢をまっすぐ追いかけています。
例えば、アメリカ代表として登場するケルシー・ウィットモア選手。 彼女は、男子選手が大半を占める独立リーグでプレーするほどの実力の持ち主。速球に食らいつき、スライディングで塁に飛び込む姿はまさにプロの風格。そして彼女は、こう言います。「野球は男のスポーツじゃない。私たちがプレーする限り、それは変わる。」
日本からは「レジェンド」里綾実選手が登場!
日本からは、女子野球界のレジェンド投手・里綾実(さと・あやみ)選手が出演しています。女子プロ野球のエースとして名を馳せ、何度も日本代表として世界大会で活躍してきた彼女。映画の中では、球場で子どもたちに優しく声をかけながらキャッチボールするシーンや、鋭い眼差しでバッターに向かう姿が映されていて、「あぁ、これが本物のアスリートだな」と感じさせてくれます。
彼女の「野球をやめようと思ったことは、何度もある。でも、その度に、私を見て野球を始めた女の子がいると思うと…やっぱり辞められなかった」という言葉には、思わず胸が熱くなりました。
野球界のレジェンドたちも出演!
この映画のもう一つの見どころは、豪華な出演者たち。なんと、MLBのレジェンド、カル・リプケン・ジュニアさんとイチローさんが登場します。
リプケンさんは、若い選手たちの野球教室に参加して、女子選手たちの姿に「時代は確実に変わっている。彼女たちは未来だ」とコメント。
そしてイチローさん。彼が真剣なまなざしで女子選手のバッティングを見つめ、「彼女たちは、男子に負けない本物のアスリート。尊敬しています」と語るシーンには、鳥肌が立ちました。イチローさんがここまで熱く語る意味…そういうことなのです!
それぞれの国の「女子野球事情」もわかる
映画の良さは、感動だけじゃありません。各国の女子野球を取り巻く環境や、課題も丁寧に描かれています。
たとえばプエルトリコの選手は、国内に女子野球リーグがないため、男子のリトルリーグで肩を並べて戦っているという状況。また、ウガンダでは、まだ野球自体が広まっていない中で、数人の女子選手が道具を自作して練習している姿が映されます。思わず、「この子たちが日本の球場で試合したらどうなるんだろう」と想像し、夢を見てしまいました。
女子野球は、いま確実に「進化の途中」
この映画を観ると、女子野球が「ブーム」ではなく「文化」として根づいていこうとしているのが感じられます。道はまだまだ険しい。プロリーグの継続、国際大会の認知、指導者の不足、メディア露出の限界…。でも、それでもあきらめない彼女たちが、確実に未来に向けて土台をつくっている。
そして、彼女たちの物語は、スポーツだけにとどまりません。社会において、女性が「こうあるべき」とされてきた固定観念を、ひとつずつ打ち破っていくその姿に、自分の生き方を重ねてしまう人も多いはず。
『See Her Be Her』を観たあと、あなたはきっと何かしたくなります。SNSで彼女たちをフォローしたり、女子野球の試合を観に行ったり、あるいは身近な誰かに「この映画観てみて」とおすすめしたくなるかもしれません。
それこそが、映画の本当の力。誰かを応援することの素晴らしさを、改めて教えてくれる映画です。
ちょっとでも「気になる」と思ったら、Amazonプライムでぜひチェックしてみてください。観終わる頃には、「女子野球、もっと知りたい」と思っているはずです。